食品業界にいた時の話です。食品業界と言っても、飲食店ではなく「食」を扱う、食品メーカーや食品卸、小売店側での実体験です。どこの業界・世界にも優越的地位という物は存在しうるかと思いますが、今回は実体験を基に営業担当者が見る食品業界の優越的地位の濫用(らんよう)を書いてみることにしました。
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そもそも優越的地位とは
業界構造になりますが、食品業界というのは、大雑把に分けると
- メーカー:モノを作る
- 卸売業:メーカーから買って、小売業に売る
- 小売業:モノを客に販売する
に分けられます。
1.はご存知の通り、味の素、日清、キリンビールとか誰でも知っているような食品を製造する企業です。
2.に関しては、三菱食品、日本アクセス、国分グループ本社と、普通に暮らしている人にとってはほぼ知らない企業です。また厳密に言えば2次卸、3次卸、4次卸とかあります。もしくは1.メーカーと3.小売業が直接取引することもあります。しかしながら日本はモノが欧米に多品種少量の為、色々な販路に販売してくれる卸売業はメーカー側にとっては、なくてはならない存在です。
3.に関しては普段買い物に行く、スーパーやコンビニなどです。
モノの流れとして、
1.メーカー → 2.卸売業 → 3.小売業 → 消費者
となるので優越的地位は右側に行くほと強くなります。
なぜ優越的地位が濫用されるのか
必然的に商品やサービスを購入する場所から利益が発生するわけですが、食品の最終消費される場所は、消費者になるわけです。
昨今問題になりましたモンスタークレーマーなんかが正にその典型的な例ですが、自分が神様のごとく振る舞い、無理難題を要求してきました。
業界構図でいけば、消費者に一番近い小売店がそれに該当するわけですが、1.食品メーカーや2.卸売業は、3.小売業に 販売をしてもらいたいので、彼らに太鼓持ちをすることに必死になるのです。
優越的地位の濫用事例①〜棚割り〜
「棚割り」。これは業界用語になりますが、新店がオープンした時や、シーズン切り替えによる店の棚のレイアウトを変えるときは、「棚割り」と呼ばれる、商品を棚に詰め込む作業が発生します。
この「棚割り」ですが、一体誰がやるのでしょうか?普通に考えれば商品を購入した時点で、支払いをしたその人のものになるので、店側(小売店)がやるのが筋かもしれません。しかし食品業界では、みんなでやります。
ちなみに酷い小売店だと、食品カテゴリー以外の、雑貨や日用品も棚割りさせるところもあります。
日本人の精神構造にも関係がある
民族性によるものと考えますが、日本人というのは困っている人がいれば助けるでしょう。「財布を拾ったら交番に届いてた!」と海外の人が言うが、良い例です。「棚割り」の時でも、新しい店がオープンして、困っているから助けたい!という精神が発揮れるところもあるでしょう。
優越的地位の濫用事例②〜飲食店の支払い〜
これはどこの業界にもあるかもしれませんが、やはり立場が下の人が支払いをします。この場合で行けば、メーカーと卸売業で飲みに行けば、メーカーが支払いをしますし、卸売業と小売業が飲みに行けば、卸売業が支払いをしなければなりません。
つまり太鼓持ちをするということです。得意先に対して、自社製品を販売して貰わなければなりませんので。
近年は変わりつつある
働き方改革等で、近年も以上のように述べた優越的地位の濫用による仕事も撲滅されつつあります。
そこまで強制をすることもなくなりましたし、棚割りで手伝ったもらった食品メーカーや卸売業に、弁当が支給されるようになりました。
しかしながら今後ますます人が減ってく日本においてこの「棚割り」という仕事はロボットでも代替するにも行かないでしょう。人が足りないという物理的な問題になってきますし、かといって小売業もこれまで慣例にとらわれてやってきたので、棚割りをするために人員を外部から雇うための予算も組んでいないですし、難しい問題ですね。
まとめ
- 優越的地位の濫用は引き続き続く
これはどのこの業界でも一緒のことかもしれませんが、食品業界においても引き続き続くことでしょう。無茶な要求をするような小売店もいますが、逆に食品メーカーや卸売業から、小売店に転職する、という人もいるのは事実です。
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